かつて「日の丸飛行隊」と称され、日本のお家芸とまで言われたスキージャンプ。しかし、近年では日本人選手が勝つことが難しくなっています。その背景には、国際スキー連盟(FIS)によるルール改正があると言われています。
長野五輪までは、スキー板の長さは「身長+80cm」という基準で決められていました。しかし、長野五輪後は「身長の146%」という割合基準に変更されました。この変更により、小柄な選手が多い日本人には不利な状況が生まれたのです。
ビジネスの世界でも重要な「ルール作り」
このスキージャンプのルール変更は、ビジネスの世界にも通じる話です。かつてのビデオ規格戦争でVHSがベータに勝利したように、業界の「標準」がどのように決まるかは、企業の競争力に大きく影響します。当時は、市場競争の結果として、事実上の標準とみなされるデファクトスタンダードも多かったのですが、最近では事前に規格を決めることが多くなりました。
事前に決めるルールには公平性が求められ、ルール作成時には関係者の合意が重要です。しかし、特にフォーラム標準やデジュール標準のように、業界団体の合意を前提とした標準化プロセスは時間や負担がかかります。そのため、ルール形成を事業戦略に組み込むことに慣れた欧米企業に比べ、日本企業は出遅れることが多いのが現状です。
迅速な標準化を可能にする「新市場創造型標準化制度」
この課題を解決するため、2014年に経済産業省が創設したのが「新市場創造型標準化制度」(以下、新市場制度)です。この制度を活用すれば、業界団体を経由せずにJIS規格やISO規格を短期間で制定できます。
この制度の特徴は、中小企業でも規格提案が可能であり、業界団体の合意が不要な点です。実際に、弊所でJIS化を支援している株式会社ミチヒロも、わずか2名の規模で申請を行っています。以前にも、従業員2名の企業が採択された例があります。
自社に有利なルールを作るチャンス
優れた技術を持つ企業が、自社の強みを活かした規格を作れるのが新市場制度の魅力です。この流れを受け、2018年の弁理士法改正では、弁理士の業務に標準関連業務が追加されました。つまり、技術に精通した弁理士は、標準化の支援で顧客企業に貢献でき、そのような業務を標榜してよいことが、公式に認められました。
「自社に有利なルールを作りたい」と考える方は、ぜひ標準化を取り扱い可能な特許事務所にご相談ください。競争を勝ち抜くための標準化戦略を、一緒に実現しましょう!