特許を武器に、特定の中間製品を取引先に購入してもらおう――。
そんな交渉は知財戦略として有効なこともありますが、特許に関係ない部品までセットで購入させるのは要注意です。
たとえば、ある住宅メーカーA社が、自社の特許付き工法を工務店にライセンスする際に「このメーカーの部材を使ってください」と指定。
ところがその部材、実は他社からもっと安く、しかも特許に抵触せずに手に入るとしたら…?
このようなケース、公正取引委員会が公表している『独占禁止法に関する相談事例集(平成16年度)』でも取り上げられています。
「独占禁止法に関する相談事例集(平成16年度)」の公表について
(11 工法の特許に係る部品等の購入先の制限より引用
もし「価格を維持したい」「競合を排除したい」といった目的で、特定メーカーの製品の使用を義務づけていると、独占禁止法違反になる可能性があります。
もちろん、指定部材が「特許工法の性能を保証する」など合理的な理由があるなら一定の正当性はあります。
しかし、意図や範囲を間違えると、ライセンシー(特許使用者)との間でトラブルに発展することも。
特許の力を借りて自社の製品を売り込むのは戦略ですが、やりすぎは禁物。
契約時には「これは本当に必要な制限か?」と一度立ち止まって、冷静にチェックしましょう。