新製品や新サービスの中には、業界の常識を覆すような新しいコンセプトを提案するものがあります。こうした革新的な製品やサービスが市場に広がれば大きな影響を与えますが、既存の常識や慣習を変えることになるため、顧客側の抵抗も少なくありません。たとえ製品やサービスが優れていても、提供者自身の評価だけで顧客が重要な判断をするのは難しいことがあります。
このような状況で役立つのが「JIS化」です。経済産業省が発行する「新市場創造型標準化制度」によれば、新しいコンセプトを顧客が評価しづらい場合、JIS化が有効な手段であると紹介されています。
参照: 新市場創造型標準化制度について(経済産業省)
(事例)株式会社mil-kinの携帯形微生物観察器
mil-kinが開発した携帯形微生物観察器は、その場で細菌の有無を確認できる画期的な製品です。従来、食品を扱う店舗や工場では、サンプルを別室で培養し、顕微鏡で観察するという手間のかかるプロセスが必要でした。しかし、mil-kinの製品を使えば、その場で簡単に検査が可能になります。
とはいえ、店舗や工場では、従来の安全衛生管理のオペレーションを変更することに対して大きな決断が求められます。そこでmil-kinは、製品の基準をJIS化することを提案し、顧客が製品を評価しやすい環境を整えました。その結果、多くの顧客が新たなオペレーションを採用し、新しい市場が形成されました。
(まとめ)
新しいコンセプトの製品やサービスを顧客に受け入れてもらうためには、客観的な評価基準を自ら作り、それを標準化することが効果的です。このように標準化を通じて、顧客の信頼を得やすい環境を構築することが、新しい市場の創造につながります。