自社の測定装置を使った「測定方法の標準化」。これこそが、測定装置メーカーの製品の競争力を高め、ビジネスの幅を広げる有効な一手になります。この戦略では、自社製品の評価方法を標準化する(経産省が掲載する類型B)のではなく、自社の測定装置を利用する測定方法を標準化する点がポイントです(経産省が掲載する類型D)。
類型B、Dの評価方法と自社製品との関係
しかし、標準化を進める上で押さえるべき注意点もあります。以下の3つをしっかり理解しておきましょう!
標準化で注意すべき3つのポイント
1.標準化技術と自社技術の切り分け
測定方法が自社のコア技術と密接に結びついている場合、注意が必要です。この場合、一般的な測定方法を標準化し、自社が提供する独自の改良部分は特許やノウハウでしっかり保護しましょう。
2.上位概念の標準化と下位概念の保護
測定装置に用いる技術が標準化されると、自社技術が丸ごと開放されるリスクがあります。そうならないように、上位概念の標準化はやむを得ないとしても下位概念は特許化またはノウハウ化して守れるように準備を進めておきましょう。
3.ノウハウの扱い
測定方法の標準化にあたっては、必要ないところまで開示しないように注意すべきです。自社装置に使われている技術のうち開放しない領域を残すため、どの部分をノウハウとして秘匿し、どこまでを開示するかを慎重に判断する必要があります。
成功事例から学ぶ標準化戦略
アクロエッジ:JIS化で売上を2倍に拡大!
株式会社アクロエッジは、樹脂が硬化する際の収縮率を連続的に測定する装置を開発。その技術を特許化した後、測定方法をJIS化しました。経産省掲載の資料によれば、JIS化前後で取引先が拡大し、製品売上は2倍、受託測定は14倍に増加するという大きな成果を挙げています。
アイカムス・ラボ:独自技術を守りながら標準化
株式会社アイカムス・ラボは、液滴が落ちる瞬間をカメラで撮影し画像処理による液体の体積測定の方法についてJIS化。規格にノウハウが含まれないよう調整し、独自技術を保護しつつ市場拡大を実現しました。
測定装置メーカーに最適な戦略!
測定方法の標準化は、測定装置メーカーにとって極めて相性の良い戦略です。技術を守りながら測定方法について市場の信頼を獲得し、新たなビジネスチャンスを切り開きましょう!