企業が特許を取得する目的は何でしょうか?特許庁の「中小企業の知的財産活動に関する基本調査」によると、特許を所有する主な理由として、以下の3つが上位に挙げられています。
1.他社の参入を防ぐ(68.7%)
2.模倣品を排除する(64.2%)
3.信用力を向上させる(57.7%)
競争を勝ち抜くための特許
特許制度は独占排他権によって発明を保護する仕組みなので、「他社の参入を防ぐ」や「模倣品を排除する」といった目的が上位に来るのは当然です。競合に技術を真似されないようにすることで、自社の市場優位性を確保できるからです。
しかし、「信用力の向上」がこれほど上位に挙がるのは意外に感じるかもしれません。
信用力向上の意外な効果
「他社の参入を防ぐ」「模倣品を排除する」といった効果は、実際に特許のせいで競合が撤退したかどうかを確認するのが難しいため、実感しにくいものです。一方で、「信用力の向上」は、取引や契約の現場で目に見える形で発揮されるため、実感しやすいと言えます。
例えば、以下のような場面で特許の有無が大きく影響することがあります。
・官公庁の入札で特許が評価ポイントとなる
・大手企業との契約時に安心材料となる
・販売代理店を募る際に有利に働く
このように、特許が信用力の証明となることで、ビジネスのチャンスを広げる役割を果たすのです。
「信用力アップ」を狙う特許の活用法
信用力向上を目的に特許を出願する場合でも、競争優位性を確保するために、自社の強みとなる技術や特徴をしっかり権利化することが重要です。契約交渉を有利に進めるために、対象となる商品やサービスに対応した権利を分かりやすく明記できればさらに効果的でしょう。
特許事務所も、単なる権利取得だけでなく、「信用力向上」を目的とする企業に対して丁寧に相談に乗り、状況に応じた提案を行うことが求められます。
特許は「技術を守るため」だけではなく、「企業の信頼を高め、ビジネスチャンスを広げる武器」にもなり得るのです。この視点を持つことで、特許の価値をより一層活かせるでしょう。