弁理士が企業に標準化戦略を提案する際、誰にアプローチすべきでしょうか?
通常、弁理士がやり取りするのは知的財産部や知財担当者ですが、標準化の提案には適切でないことが多いです。その理由は以下の通りです。
・標準化の意義やメリットが理解されにくい
・大企業では部署ごとの業務が細分化されており、横断的な動きが難しい
・知財担当者個人が企業全体の標準化戦略を推進するのは困難
・責任ばかりが増えて評価の対象になりにくい
適切な提案先は?
✅ 標準化戦略を統括できる部署
中堅企業や大企業で、標準化戦略を担う部署があれば、そこがベストな提案先です。特に通信業界のベンダーやキャリア企業の約37%は、そのような部署を持っています。しかし、まだ多くの企業では整備されていないのが現状です。
一般社団法人情報通信技術委員会(TTC)の会員への調査結果
「国際標準化の戦略的推進のための標準化人材の育成」より引用
✅ 経営層やそれに近い層
標準化を統括できる人材が経営層にいれば、そこにアプローチするのが有効です。もし経営層が知財部に標準化の機能を持たせることを決定すれば、知財部を通じた対応も可能になるでしょう。
✅ 中小企業の経営者や経営陣に近い知財担当者
小規模な中小企業では、経営者自身が知財担当者であるか、知財担当者が経営層に近い存在です。そのため、標準化を経営戦略の一環として提案するとスムーズに受け入れられやすくなります。
提案のコツ
標準化のメリットを伝える際、単に「市場が拡大する」とか、「政府の支援策がある」とか、抽象的な説明をするだけでは不十分です。
🔹 具体的なビジネスメリットを提示する
例えば、「あの発明を知財権で保護しながら、ここまでの技術を標準化すればA社への説明が伝わりやすくなりますし、B社との間で滞っている新規契約の締結がしやすくなります」といった形で、具体的なビジネスモデルを描いて標準化が新規顧客の開拓に直結することを明確に伝えましょう。
外部の専門家には、標準化を成功させるために、適切な相手に適切なアプローチをすることが求められます。