(株)ミチヒロにより提案された「複数の圧電素子を用いたスピーカーに関する標準化」というテーマが、新市場創造型標準化制度に採択されました。弊所とともに取り組んできた本件が、採択に至ったのは標準化アドバイザーをはじめ多くの方々のおかげといえます。今回の採択は、独自技術の有用性を際立たせるとともに(株)ミチヒロの今後の事業展開の大きな原動力になります。
革新技術「SoTモジュール」で音響市場に革命を
(株)ミチヒロが開発した「SoTモジュール」は、圧電素子を連結したアレイ化技術を採用。あらゆる振動可能な物体に取り付けるだけで、その振動を増幅し、低音の効いた重厚なサウンドも生み出すことができます。圧電素子そのものの振動ではなく、振動の伝達や増幅という物理学的なアプローチに注目した革新的な技術です(特許7360002号)。
従来方式のいわゆる「圧電スピーカー」には、これまで多くの企業が取り組み、失敗してきました。圧電素子自体から音を出しても、低音域ではコイルスピーカー並みの音圧が出ません。今回、(株)ミチヒロが開発した「SoTモジュール」は、従来の「圧電スピーカー」とは一線を画し、コンパクトながらもコイルスピーカー並みの音質を実現。その上、従来比1/5の重量、消費電力はなんと1/25(※ミチヒロ資料)という圧倒的な省エネ性能を誇ります。この技術は、壁やインテリア、さらにはアート作品まで、あらゆるものを音響装置へと変貌させることが可能であり、音響市場の構図を塗り替える可能性を秘めています。
JIS化で市場へのインパクトが加速
これまで「SoTモジュール」は、従来の「圧電スピーカー」と混同されがちで、その革新性が伝わりにくいという課題がありました。また、現場でのデモンストレーションではその実力が評価されるものの、経営層への説明の場では客観的な基準による評価が不足していました。
しかし、今回の採択とそれに伴うJIS化により、
・コイルスピーカーとは一線を画した存在であること
・一定の音圧を実現しながら圧倒的な省エネと軽量性
・圧電スピーカーで実現できなかった低周波数域の音圧
の明確な評価軸が確立されます。これが様々な応用製品の市場で「SoTモジュール」の採用を後押しすることにつながります。
「新市場創造型標準化制度について(経済産業省)」より引用
新市場創造型標準化制度とは?
今回採択された「新市場創造型標準化制度」とは、革新的な技術や製品をJISとして標準化し、新たな市場の創出や拡大を支援する経済産業省創設の制度です。採択されるには、厳正な審査により審議会でJIS化する価値が認められる必要があります。採択は、テーマの「市場拡大の可能性」や「公益性」を官庁が公式に認めたということであり、お墨付きといえます。
「制度概要及びテーマ一覧(JSA)」より引用
知財戦略コンサルティング事務所としての支援
今回の標準化にあたって、弊所も2年余り粘り強く継続的に(株)ミチヒロの提案を支援しました。このような画期的な技術や標準化に伴う音響市場のゲームチェンジに関われることには大きなやりがいがあります。本格的なJIS化により今後さらなる市場拡大や社会貢献も期待されます。この歴史的な一歩に立ち会えたことは何にも替えがたい喜びです。