当事務所のクライアントの極めて重要な発明について、各国で特許された事例を紹介します。
この特許は、いわゆる基本特許に相当するもので、そのクライアント企業にとって社運を賭けたビジネスの基本要素に位置づけられる特許でした。基本特許は、広い権利範囲をカバーするもので、市場が存在する各国へも展開されることが多いです。失敗は許されません。
そのクライアントの発明についても国際出願を行ったところ、国際調査見解書で一部の請求項の進歩性が否定されました。主要な部分は特許が認められていたため安心しましたが、クライアントから、審査官が発明を理解しておらずもっと広く権利範囲が取れるのではないかとのご指摘がありました。そこで、丁寧に審査官面接を行って審査官の理解に誤りがないことを確認した上で、PCT第34条に基づき請求の範囲を補正し、国際段階で特許性が認められるように手当てしました。
一方、外国市場の調査や試算も行いながら申請書の準備を進め、東京都の外国特許助成金の採択を受けました。その後、米国、欧州、中国、韓国に対してPCT-PPH(早期審査)の制度を利用し、それぞれの国で移行手続きを進め、全ての国で早期に特許が認められました。
国際段階で特許性に見通しを立てたことで各国の審査がもつれることもなく、予算内で早期に権利化が進み、クライアントのビジネスの進展に大きな弾みとなりました。